留学、就労等、特定の目的で長期滞在のためのビザで中国に入国した場合、入国後30日以内に居住地の公安局に申請して、「居留許可(Residence Permit)」を取得する必要があります。
◆在中国日本国大使館HP 中国の入国査証(ビザ)、居留許可等について
パートナーに帯同して中国で生活することとなった場合も、例外ではありません。
申請期間が限られており、スムーズに手続きを終えるためには、事前準備をしておくと安心です。今回は、私が居留許可を申請した際、用意した書類について、
- 日本で準備しておかなければならないもの
- 勤務先・留学先に準備しておいてもらうもの
- 中国入国後、手に入るもの
- 出入国管理局で作成するもの
の4種類に分けて、お伝えします。
1.日本で準備しておかなければならないもの
1.パスポート 原本およびコピー
海外に行く場合、必ずパスポートを取得することになるので、当然お持ちだと思います(が念のため…)。
居留許可申請の際、コピー1枚の提出を求められます。
私が訪問した上海市出入国管理局には、コピー機が設置されていましたので、コピーを取らずに出入国管理局に行った場合も、現地で用意することはできます。
ただし、慣れない機械、慣れない言語でコピーを取ることは心理的負担が大きいと思いますので、出国前にお近くのコンビニエンスストア等でコピーしておく方がおすすめです。
また、居留許可を申請する際は、ビザ申請のときと同様、パスポートを預けることとなります。そうすると、一時的に身分証明書を持っていない期間が発生しますので、パスポート情報が必要な場合に備えて、少し多めにパスポートのコピーを持っておくと安心です。
2.中国大使館/総領事館認証済みの家族関係を証明する書類
中国で就労・留学することとなった本人だけが居留許可を申請する場合は不要ですが、あわせて家族の分も申請するという場合、上記の書類が必要です。
つまり、何を提出すればいいの?
では、具体的にどんな書類を準備しなければならないのでしょうか?
夫の勤務先に確認したところ、
婚姻関係を証明する書類の中国語訳(翻訳会社の印鑑込み)
と言われました。
当時、私たちは入籍したばかりで、手元にあったのは婚姻届の受理証明書だけです。これを翻訳すれば良いのか、それとも他の書類を翻訳する必要があるのか確信を持てませんでした。そこで、以前、夫が日本語の書類を中国語に翻訳してもらったことのある翻訳代行サービスに問い合わせをすることにしました。
そうしたところ、以下の回答を得ました。
婚姻を証明する書類として弊所にご依頼をいただくことが多いのは戸籍謄本になります。
中国に提出される戸籍謄本の中国語翻訳と中国大使館の領事認証の申請のご依頼という事でよろしいでしょうか。
当初、婚姻届受理証明書を単に中国語に翻訳すればよいと考えていました。しかしながら、こちらの翻訳代行サービスの行政書士の方によると、戸籍謄本を元に中国大使館の領事認証を得ることが一般的とのことです。中国入国後、「この書類では申請を受理できません。」と言われてしまったら困るため、私たちは提案通り、
- 戸籍謄本の中国語翻訳
- 中国大使館の領事認証
をお願いすることにしました。
認証済み中国語訳戸籍謄本を作成してもらうにあたり提出したもの
この手続きに際し、行政書士の方に提出した資料は以下のものです。
戸籍謄本
戸籍謄本は公文書です。公文書については、発行後3ヶ月以内のものが認証の対象になります。3ヶ月より前に取得された文書については該当の役所に再発行を依頼してください。
署名をした宣言書
一般的には、以下の一連の手続きをすることになるそうです。
- 戸籍謄本原本に、中国語に翻訳した戸籍謄本と、正しく翻訳した旨の宣言文を記載した本人署名済みの中国語宣言書を添付
- 公証役場での公証人の認証
- 法務局長の公証人押印証明
- 外務省の公印確認
- 中国大使館の領事認証
宣言書の文章は行政書士の方からデータで送付されてきました。印刷後、署名欄に手書きで署名をしました。
公証役場向け委任状
上記2.の手続きにあたり、必要となります。行政書士の方からフォーマットのデータが送付され、氏名、住所を記入します。その上で、自身の実印を押印しました。
個人の印鑑登録証明書
公証人役場委任状に押印した実印が、本人のものであることを証明するために必要です。取得方法は、以下のステップとなります。
1.登録する印鑑を用意する
以下に該当する印鑑は登録することができません。ご注意ください。
- 住民票に記載されている氏名欄、通称欄の氏、名または氏と名の一部を組み合わせた文字で表していないもの。
- 職業・資格など他の事項をあわせて表しているもの。
- 印影の大きさが、一辺の長さ8ミリの正方形に収まるもの、または一辺の長さが25ミリの正方形に収まらないもの。
- 印影が不鮮明なもの、文字の判読が困難なもの。絵柄のあるもの。
- ゴム印や指輪の印のように変形しやすいもの、外枠のないもの、欠けているものなど。
2.住民票をおいている市区町村に、印鑑登録の申請を行う
3.印鑑登録証(カード)を発行してもらう
4.印鑑登録証を提示し、印鑑登録証明書を交付してもらう
運転免許証やパスポート、マイナンバーカード等を持参していれば、印鑑登録を申請したその日に証明書を取得可能です。
中国大使館向け委任状
公証人役場委任状とは別途、中国大使館向けの委任状も必要となるそうです。こちらも、行政書士の方からフォーマットのデータが送付され、氏名、住所をこちらで記入したのち、実印を押印しました。
パスポートの写真のページの見開きコピー
本人確認のための書類と考えられます。
書類作成を代行してもらうメリット・デメリット
私たちは、そもそもどんな書類を準備すればいいのかすら知識がなかったため、代行サービスにすべておまかせすることにしました。最後に、実際にサービスを利用して助かった点、実は依頼するか否か迷った点について紹介します。
とにかく安心。
自己判断で書類を作成した場合、「本当にこの書類は有効なのだろうか?」と疑心暗鬼になっていたと思います。今回は、実績のある行政書士の方にお任せしたため、「これでだめなら、他の人もだめだからしょうがない…。」と、ある程度割り切って中国に向かうことができました。
結構費用がかかる。
今回のように、「翻訳+認証」の手続きを行う場合、そもそも各役所(公証役場、中国大使館、中国ビザ申請センター)での手数料がかかります。特に、公証役場の手数料は1万円以上です。
その上、代行センターへの手数料が上乗せされるため、私たちの場合、トータルでは約6万円ほどの費用となりました。
自分で手続きを行わず外注する時点で、費用発生は当然避けて通ることはできません。しかし、決して安くはない金額であったため、一瞬、自分たちでなんとかしようかと考えたのも事実です。
心配な方は、複数の代行サービスから見積もりをもらうと良いと思います。
また、私が上海市出入国管理局で申請を行った際は、原本を提出すると「コピーはありますか?」ときかれ、最終的にはコピーを提出し、原本は返却されました。このような場合に備え、コピーも準備しておくと安心です。
2.勤務先・留学先に準備しておいてもらうもの
1.外国人工作許可通知 または 外国人工作許可証/専家証 原本およびコピー
中国で仕事をすることとなった場合、勤務先が対応してくれるものの1つです。取得には本人が提出しなければならない書類もあるため、協力して手続きを進めることとなります。
私の場合、就労目的ではなく、夫に帯同しての滞在であったため、外国人工作許可証の提示は求められませんでした。
2.勤務先・留学先からの紹介状
出入国管理局宛てに、
- 誰が
- どんな目的で
- いつまで
- どこに滞在するか
を記載した書類(押印付き)を発行してもらいました。
3.勤務先・留学先の証明書
紹介状を発行した機関が、中国当局に登録済みの法人であることを証明する証明書の副本をもらいました。
3.中国入国後、手に入るもの
1.臨時宿泊登記表(証明書) 原本およびコピー
外国人が中国に滞在する場合、「臨時宿泊登記」を行う必要があります。ホテルに滞在しているのであれば、フロントにパスポートを提示した際行われているため、申し出ると証明書を渡してもらえます。
普段、短期間の旅行等で家族宅に泊まっている場合、抜け落ちている可能性もありますので、中国に住むとなった場合は、必ず取得するようにしましょう。
◆在中国日本国大使館HP 「臨時宿泊登記」は必ず行いましょう!
2.健康診断の証明書
居留許可の申請にあたっては、健康診断の受診結果を提出する必要があります。勤務先・留学先の指示に従い、入国後、指定の医療機関にて健康診断を受診しましょう。
健康診断の結果が出るまでには、1週間前後かかります。お急ぎの場合、事前に予約をしておく方が安心です。海外からオンラインで予約できる医療機関もあります。
健康診断の手順や内容については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
4.出入国管理局で作成するもの
1.証明写真
これまでにも、
- パスポートを作成するとき
- ビザを申請するとき
- 健康診断を受診するとき
など、様々な場面で証明写真を撮影しているはずです。
私も最初、これまでの手続きであまってしまった証明写真を活用するつもりでした。
しかし、上海市出入国管理局では、印刷した証明写真は使用できません。フロアに設置されている証明写真機で撮影すると、撮影データを紐付けてあるバーコードがレシートとして出力されます。
そのバーコードを機械に読み取らせることで、申請書類が作成される仕組みになっているのです。
2.居留許可申請書
上海市出入国管理局での申請書の作成は、専用の機械にて行います。手書きではありません。
手順は、以下の通りです。
- 申請書を作成する機械にパスポートをかざす
- 続いて、証明写真のバーコードをかざす
- 電話番号を入力する
- 申請用紙が出力される
申請書が完成したら、これまでに準備したすべての書類を持って、窓口へ向かいます。
5.おわりに
中国で居留許可を取得するには、紹介したとおり、様々な書類が必要です。
入国から30日以内というルールがあるため、日本にいる間にできることは、できるだけ事前に済ませておいた方がゆとりが持てます。また、勤務先・留学先との連携は密に取るようにし、不明点は解消した状態でのぞむようにしましょう。
あなたの中国での生活が、素敵なものになりますように。
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