海外で生活をするために必要な「ビザ」。
- 海外での就職が決まった
- 転勤で海外駐在になった
などという場合には、勤務先の会社がサポートしてくれますのであまり心配はいらないと思います。
一方、そんな海外勤務のパートナーと結婚し、新たに現地での生活をスタートしようとした場合、どのような手順でビザを取得すればよいのでしょうか?
私の実体験をお伝えします。参考になれば幸いです。
私
・日本人
・東京在住 BtoB企業の総合職
・旧姓のパスポート残存期間10年
夫
・日本人
・中国の某機関にて現地採用(有期)
・居留許可の残存期間5ヶ月
(注意1)これは2019年10月時点での体験談です。
(注意2)2020年1月に中国ビザ申請センターは新しい所在地に移転しています。
1.婚姻届を提出する
婚約するだけでビザは取れるのか?
親族訪問ビザを発行してもらうためには、「家族関係を証明する書類」が必要となります。つまり、1つの戸籍謄本にお互いの名前が記載されていなければならないので、入籍は必須です。
お役所は基本的に平日の日中しか営業していません。しかしながら、戸籍に関する申請は時間外でも受け付けてもらえるところが多いです。
私の場合、土日休みのフルタイム勤務だったため、平日の残業後に会社近くの区役所に提出しました。
なお、住民票をおいていない市区町村に提出する場合、戸籍謄本を添付する必要があるので注意が必要です。
海外居住の日本人と結婚するには?
このサイトを読んでいる方の中には、パートナーのどちらかまたは両方がすでに海外に住んでいるという方もいらっしゃると思います。その場合、どのような手続きをふめば「結婚」したことになるのか、疑問に思われている方もいるのではないでしょうか。
その答えは、以下となります。
- 基本的には、通常通り、婚姻届を提出すればOK(+必要に応じて戸籍謄本)
- 海外への転出届を提出済みの場合、住所の欄は「転出先の国名」を記載する
何を隠そう、私もどうしたら結婚したことになるのかわからないと頭を抱えるひとりでした。そして、不安に思い、インターネットで何度も検索してみましたが、的確な答えを得ることはできませんでした。
ある日、「たらい回しになってもいいからまずは質問してみよう!」と決意し、区役所に電話をかけてみたところ、上記の回答を得ました。
市区町村や法務省等のQ&Aには記載されていない事項ですので、参考にしてください。
2.戸籍謄本を取得する
戸籍謄本はいつ手に入るのか?
ビザを取得するためには、その前提となるパスポートが必要です。今までパスポートを作ったことがなかった方はもちろん、すでにパスポートを持っている方も、その氏名変更等をしなければなりません。その際、必要となる書類のひとつが戸籍謄本です。
市区町村にもよりますが、婚姻届提出後新しい戸籍が作られるまで、おおよそ2週間前後かかります。新戸籍が作られたのち、戸籍謄本を取得できるようになりますので、お急ぎの場合はご自身の本籍地の市区町村にお問い合わせください。
私は最短で戸籍謄本を手に入れたかったため、区役所に電話したところ、「○月○日以降、発行できます」と具体的な日付を教えてもらえました。
1枚あればいいの?
また、戸籍謄本は親族ビザを申請する際にも必要な書類です。渡航後、戸籍謄本の提出が求められる場面に遭遇しないとも限りません。費用はかかりますが、多めに発行しておいた方が良いと思います。特に、海外から戸籍謄本を取り寄せる場合、手続きが大変なだけでなく、時間もお金もさらにかかりますので、注意してください。
3.パスポートを取得するor氏名変更を行う
パスポートを持っていることはビザ取得の大前提です。
パスポート、ビザ、家族関係を証明する書類(=戸籍謄本)に記載されている氏名が合致していなければ、同一人物と認められません。そのため、すでにパスポートをお持ちの方も、新しい氏名に変更する手続を行いましょう。
すでにパスポートを持っている方であっても、残存期間が少ない場合、変更ではなく、新しくパスポートを取り直す方が中長期的に見てコスパが良い場合もあります。ご自身のパスポートを確認してから、変更か新規発行かを選択するようにしましょう。
私の場合、旧姓のパスポートは新しく作成したばかりでしたので、氏名(および本籍地)の変更手続きをとりました。
4.中国ビザを申請する
パスポートが手元に届いたら、ようやくビザ申請のスタートラインです。
中国ビザの申請方法は?
中国ビザを発行してもらうには2つの方法があります。
※他の国でもおそらく同様だと思います。
- 自分で中国ビザ申請センターに行き、申請・受領を行う
- 旅行会社に代わりに申請してもらい、自分で受領に行く
私の場合、
①そもそもどのビザを申請すべきか明確ではない
- 私の予定滞在期間は約5~6か月(=180日以下)。
- 夫の勤務先からは、「中国入国後、居留申請をするように」との連絡。
- 中国ビザセンターに電話で問合せた際、「S2ビザ(180日以下の親族ビザ)では居留申請はできない」と言われた。
- 一方、居留申請をすることとなるS1ビザは180日以上の滞在を前提としている。
ということから、窓口に行くまで、2種類の親族ビザのうち、どちらを申請するか決めかねた状態でした。
②最後に日本に帰国した際、入国スタンプをもらっていなかった
旅行会社によっては、ビザ申請代行の条件として、最終入国時のスタンプを挙げているところがありました。
といった理由があり、1「自分自身で申請」とすることにしました。
どのビザを申請すればいいの?
2019年10月現在、中国ビザは16種類あります。意外と多いです。
とりあえず、家族になったから親族ビザ(Sビザ)でしょう
私の場合、中国で就労している家族を訪問する目的での申請でしたので、条件に当てはまりそうなビザは、親族ビザ(Sビザ)となります。親族ビザはその滞在期間によって2種類にわかれており、180日以上の場合S1ビザ、180日以下の場合S2ビザとなっています。
申請に必要な書類は、どちらも同じです。
具体的には、以下を参考にしてください。水色箇所の下のコメントは私の個人的見解・体験談です(2019年10月時点)。
パスポート原本及び写し(余白 2 ページ以上,有効期限 6 ケ月以上)
新姓のパスポートは必須です。渡航履歴を確認されるので、ご結婚前にパスポートを作成・使用されていた方はそちらも必要となります。
私は1つ前のパスポート(旧姓)も持参していましたが、受付の際「さらにその前のパスポートはありますか?」ときかれました。「自宅にあります」と答えたところ、その旨を一筆書いて署名ということで、申請は受理してもらえました。
6か月以内の証明写真(4.8×3.3cm/カラー/背景は白)1枚
実際にはもっと細かい条件がたくさんあります。心配な方は写真屋さんに撮影をお願いする方が安心です。私は写真屋さんで撮影してもらいました。
ただし、ビザセンターには証明写真機が設置されていましたので、写真の準備を忘れていた!という方は、現地調達が可能です。
中華人民共和国査証申請表
HPにて入力およびデータ出力可能です。ビザセンターにも申請用紙とペンは置いてありました。
中国国内に居留する外国人(招聘する親族)からの招聘状(FAX・PDF 可)
私は自分自身で作成するつもりでしたが、この書類に関してはどんな体裁のものならば認められるのか、正直わかりませんでした。ネットで検索しましたが、ドンピシャでヒットするものはほとんど見つかりませんでした。
「招聘状」で検索してヒットしたひな形とビザセンターHPに記載されている「招聘状の内容」例を参考にwordで作成、夫にメールで送り署名をもらい、印刷しました。
※招聘状の内容:
①申請者個人に関する情報:姓名、性別、国籍、生年月日など。
②申請者訪中に関する情報:訪中理由、入出国日時、滞在地、予定滞在日数、及び招へい者との続柄、滞在費用負担者等。
③招へい者に関する情報:招へい者姓名、電話番号、住所、招聘者の署名
招聘者のパスポートのコピー、居留証のコピー
夫はすでに中国で生活していたため、スキャンデータを送ってもらいました。
念のため、労働許可証のコピーも準備しておきました。
申請者と招へい者の家族関係を証明する書類(戸籍謄本、結婚届、出生届、公安派出所発行の関係証明或いは親族関係公証書等)
日本人夫婦の場合は、戸籍謄本(日本語)で良いそうです。
親族ビザが申請できない!?
ここまで親族ビザについて説明してきました。
しかしながら、実は、いざビザセンターに行ってみると、私は親族ビザを申請することができませんでした。
その理由は、「パートナーの居留許可の残存期間が6か月未満だったから」です。
ビザセンターの受付担当者の方いわく、外国人(=中国人以外)が外国人を招聘する場合、「招聘者の居留許可の残存期間が半年以上」あることが条件とのことでした。
私はビザセンターのHPをかなり読み込んでおり、事前に電話で問合せもしていましたが、このような条件があることは受付で初めて知りました。
とはいえ、この時点で私はすでに中国行きのフライトチケットを取っており、勤務していた会社の退職も決まっていたため、いまさら中国で生活できないと言われても引き下がるわけにはいきません。困っていると、担当者の方が「他に2つ方法があります」と話し始めました。1つめは、夫の勤務先に招聘状を書いてもらうこと。2つめは、ビザの種類を観光ビザに変えることでした。
夫には、その日ビザの申請に行くことは伝えており、何かあったときには連絡がとれるようにしておいてもらっていたので、その場で夫に電話をかけました。
すると、夫の勤務先にすぐに書類を発行してもらうことは難しいとのことでした。残された選択肢は観光ビザのみ。私は親族ビザの申請に必要な書類しか準備していなかったので、ビザセンターの方に、観光ビザ申請に必要な書類を確認しました。
観光ビザを取得するには
以下が、観光ビザ申請に必要な書類です。
パスポート原本及び写し(余白 2 ページ以上,有効期限 6 ケ月以上)
これは、親族ビザと同じです。
6か月以内の証明写真(4.8×3.3cm/カラー/背景は白)1枚
これも、親族ビザと同じです。
中華人民共和国査証申請表
フォーマットは親族ビザと同じです。記入箇所が少し異なります。
航空券(E-チケット控え)コピー
必ず往復のフライトチケットが必要です。
下記3種類の書類のいずれか
- ホテル手配確認書
- 中国国内機関発行の招聘状(FAX・写し可)
- 中国在住者発行の招聘状(FAX・写し可)と発行者の身分証明書両面コピー(中国人)/パスポート、中国滞在証明の写し(外国人)
多くの方は1.を準備することになると思います。宿泊ホテルは、滞在期間中すべての日程で手配をしている必要があります。
親族宅、友人宅を訪問する場合であっても、申請時にホテルの予約を証明する書類を持っていなければ、受け付けてもらえません。
私の場合、そう遠くない時期に帰国予定があり、たまたまフライトは往復で取得済みでした。ホテルについては仕方がないのでその場で予約サイトから予約をしました。一度、ビザセンターから出て、近くのコンビニでそれら2つのメールを印刷し、ビザセンターに戻りました。そして、再度受付に向かったのです。
(ビザが無事発行された後、ホテルの予約はキャンセルしました)
いきなり中国ビザ申請センターに行っても大丈夫?
申請に先立ち、ビザセンターのHPでは予約をすることができます(→こちら)。翌々日以降の予約となり、いくつかの時間帯に分けられています。
予約をすると待ち時間が短縮できるとのことだったので、私は念のため予約をしてから訪問しました。受付で予約時のバーコードを渡しましたが、特に確認はされませんでした。予約の有無で列が分けられるといったこともありませんでした。
申請時の会話は何語?
私が訪問した際は、ビザセンターに入ると中国語が飛び交っていました。しかし、ここに訪れる人は様々で、日本人や中国人だけでなく欧米人や東南アジアの方も見かけました。そのため、職員の方の語学は堪能です。申請者に応じて、日本語・中国語・英語で会話をしてくれるので、意思疎通にはそれほど困らないと思います。
ビザ申請時の流れ
ビザセンターに到着した後は、以下のような順序で手続きを行います。
- 必要書類を受付で提出する
- 受付番号を発行してもらう
- 待合スペースで待機
- 番号アナウンス(音声・電光掲示板)
- 窓口で簡単な面談
- 受領書兼引換証をもらう
ビザの種類ごとに受付番号が発行されているようです。私が申請した際は、私の前に4~5人待っている方がいました。番号は連番なので、何人待ちなのかは推測可能です。
窓口では、申請書に記載した内容について確認されます。
私の場合、
- 1つ前のパスポートの残存期間が残っているにもかかわらず、再発行した理由
- 2つ前のパスポートのありか
- 海外渡航歴
などを質問されました。特に問題がなければ、5分ほどで終了です。
ビザの受け取り
引換書記載の受取可能日が来たら、もう一度ビザセンターを訪問します。
その際の手続きの流れは、以下の通りです。
- 申請センターの受付で引換証を提出する
- 受付番号を発行してもらう
- 待合スペースで待機
- 番号アナウンス(音声・電光掲示板)
- 料金を支払う
- ビザが添付されたパスポートを受け取る
受付番号が呼ばれるまでは、申請時と同じ流れです。申請にかかる費用は、受領時に支払います。現金、クレジットカード等が使用できました。
私が受け取りに行った際は待っている方がほとんどおらず、到着から30分もかからず受け取ることができました(これはその時々だと思います)。
おわりに
以上が、私がビザ申請にあたって行った手続きです。
ご存じのとおり、日本のパスポートを持っていれば、滞在日数が15日以内の場合、中国ビザは免除されます。しかしながら、中国入国後居留許可を取得するつもりであっても、その手続きには15日以上かかってしまう可能性は高いです。また、当然ビザの提示も求められますので注意が必要です。
中国ビザは頻繁にその発行条件が変わりますので、必ず最新の情報を確認し、余裕をもって取得するようにしましょう。
【!注意!】
2020年1月15日以降、中国ビザ申請センターの場所が移転しています(→こちら)。
お間違いのないよう、お気を付けください。
また、移転に伴い、本サイトで記載した内容とは異なる手順となっている可能性もございます。くれぐれも最新の情報を確認するようお願いいたします。
■中国ビザ申請センター 新住所
〒135-0063
東京都江東区有明三丁目7番26号有明フロンティアビルB棟12階
電話:03-3599-5515
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